ホームセンターやドラッグストアのネズミ売り場に行くと、駆除剤が何種類も並んでいます。
袋入り、トレー入り、固形タイプ。
パッケージの見た目はどれも似ていて、値段もそれほど変わりません。
どれを選べばいいのか、その場で判断するのって難しくないですか!?
この記事では、市販の駆除剤が成分でどう分かれているのか、剤形によって置ける場所がどう変わるのかを整理します。
そのうえで、成分を選ぶより前に決まってしまうことについてもご紹介します。
市販の駆除剤は成分で大きく分かれる
売り場に並んでいる駆除剤は、有効成分で見ると大きく2つの系統に分かれます。
パッケージの裏面か側面に「有効成分」という欄があり、そこに成分名が書かれています。
まずはそこを見てください。
血液の凝固を妨げるタイプ
抗凝血性と呼ばれる系統です。
この系統はさらに、第1世代と第2世代に分かれます。
第1世代にあたるのが、ワルファリンやクマテトラリルです。
たとえばワルファリンを有効成分とする固形タイプの製品には、数日間連続して食べさせることで効果を発揮すると表示されています。
1回食べさせて終わり、という使い方を想定した製品ではありません。
クマテトラリルを使った粉末タイプの製品もありますが、こちらは業務用として売られているものが中心です。
第2世代にあたるのが、ジフェチアロールです。
こちらを有効成分とする製品には、1度食べれば効くと表示されています。
同じ製品に、遅効性で数日かけて徐々に効くため他のネズミに警戒心を抱かせない、という説明も書かれています。
急性毒タイプ
もうひとつが、少量を1回食べさせることを想定した系統です。
市販品でよく見かけるのはリン化亜鉛です。
分包タイプの製品には、喫食後3〜6時間で効果がでる急性殺鼠剤と表示されているものがあります。
リン化亜鉛特有のにおいをマイクロカプセルで抑えて食べやすくした、と説明している製品もあります。
ただしこの系統は、農耕地や倉庫の野ネズミ向け、畜舎向けなど、用途が業務寄りに設定されている製品が少なくありません。
家の中で使うつもりなら、パッケージの使用場所の表示を先に確認してください。
区分の表示を見る
成分名の近くに、区分の表示があります。
実際の売り場には、次のような表示の製品が混在しています。
| 区分の表示 | 想定されている使い方 |
|---|---|
| 防除用医薬部外品 | 家屋内のネズミの駆除。効能・効果は「ネズミの駆除」と表示される |
| 農薬(農林水産省登録) | 田畑や農耕地の野ネズミ向けとして登録されたもの |
| 動物用医薬部外品 | 畜舎など、家畜のいる場所向けとして表示されたもの |
同じ「殺鼠剤」の棚に並んでいても、想定されている場所が違います。
家の中で使うなら、防除用医薬部外品と表示されているものが基本となります。
ここで注意してもらいたいのは、区分の表示は、承認や登録を受けた製品であることを示すものであって、安全性を保証するものではないという点です。
医薬部外品と書かれているから安心、ということではありません。
どの製品にも、人や動物に有害であること、乳幼児やペットが近づける場所で使わないことが注意書きとして書かれています。
剤形で置ける場所が変わる
成分と並んで見ておきたいのが剤形です。
置きたい場所から逆算すると選びやすくなります。
| 剤形 | 特徴として表示されていること |
|---|---|
| 投げ込み分包 | 袋のまま投げ込める。天井裏や床下など手が届きにくい場所に設置できる |
| 置き型トレー | そのまま床に置ける。開封して設置するだけ |
| 固形ブロック | 種子類などをパラフィンで固めたもの。防水型として販売されている |
| 粒剤 | 小袋入り。農耕地向けの登録がされているものが多い |
| 粉末 | 餌に混ぜて毒えさを作る前提。業務用が中心 |
剤形の違いで実際に効いてくるのが、濡れている場所に置けるかどうかです。
パラフィンで固めたブロックタイプの製品には、下水溝や排水溝、流しの下など水回りでも使えると表示されています。
分包タイプでも、耐水性を高めて水回りで使いやすくしたと表示している製品があります。
逆に、そうした表示のない製品を湿気の多い場所に置くと、想定された効果が得られない場合がります。
あとは屋根裏に投げ込みたいのか、シンク下に置きたいのか、床下に入れたいのか。
置きたい場所を基準に、どの殺そ剤にするか決めるとかなり選びやすくなります。
なお、自治体によっては、屋外に毒えさを置いてはいけないと定められていることがあります。
製品の使用方法に屋外での配置が書かれているものもありますが、家庭で使う場合は自治体の指示に従うようにしましょう。
種類によって効きやすさが違う
実は同じ薬剤でも、家に出ているネズミの種類によって効きやすさが違います。
荒川区は、殺そ剤の効果はネズミの種類により差があるとしています。
ドブネズミは比較的警戒心が薄く、殺そ剤にも感受性が高いので効果をあげやすい。
クマネズミは警戒心が強く、喫食性が比較的悪く、薬剤に抵抗性があるネズミも現れている。
葛飾区も同じように、ドブネズミとハツカネズミは殺そ剤の感受性が高く、クマネズミは感受性が低いとしています。
| 種類 | 警戒心 | 殺そ剤の感受性 |
|---|---|---|
| ドブネズミ | あまり強くない | 高い |
| クマネズミ | 強い | 低い |
| ハツカネズミ | あまり強くない | 高い |
スーパーラットとは?
通称「スーパーラット」と言われているネズミがいます。
スーパーラットとは駆除エサに抵抗力を持ったネズミのことです。
薬剤に抵抗力を持ったネズミの存在については自治体も認めています。
例えば、荒川区の公式サイトにも「薬剤に抵抗性があるネズミも出現している」という記述があります。
ちなみに「スーパーラット」とは呼ばれていません。
実際に売り場を見ると、抵抗性のついたネズミに対応すると書かれた製品が複数あります。
従来の駆除エサ剤が効きにくかったワルファリン抵抗性のネズミにも効く、と書かれているもの。
「クマリン系抵抗性」という語をパッケージに載せているものなどです。
行政の側もメーカーの側も、薬剤が効きにくいネズミが存在することを認めています。
今後も抵抗力のあるネズミが増えてくるのでしょうか。
種類の確認を先にする
抵抗性の話が出てくるのは、主にクマネズミについてです。
そしてクマネズミは、そもそも警戒心が強く喫食性が比較的悪いとされています。
薬剤が効きにくいうえに、食べてくれない。
この2つが重なるのがクマネズミです。
厄介な相手です。
一方でドブネズミやハツカネズミであれば、感受性が高いとされています。
つまり家に出ているのがどの種類かで、選ぶものも、うまくいくかどうかも変わります。
大きさ・糞・出る場所から見分ける方法を、こちらにまとめたのでぜひチェックしてみてください。

殺そ剤を選ぶより先に知っておくべきこと
成分や形の話をしてきましたが、選ぶ前に知っておくべきことがあります。
そのひとつが「むやみに動かさない」ということです。
葛飾区は、ねずみは利口なので、毒えさを食べなかったり、粘着板を避けて歩いたりすることがあり、駆除は大変難しいとしています。
そのうえで、食べないからといってすぐに場所を変えないようにともしています。
慣れるまでに時間がかかるので、少なくとも1週間程度は様子を見る。
置いた翌日に反応がないからと動かしてしまうと、慣れるための時間そのものがなくなります。
そして荒川区は、駆除の方法を環境的防除・捕獲器具・薬剤の3つに分けたうえで、こう書いています。
薬剤による駆除は補助的なものであり、環境的防除を行ってはじめて効力がでます。
薬剤は補助である、と明記されています。
環境的防除として挙げられているのは次の3点です。
1. 餌となる食べ物をなくす
食料品の収納と保管、台所の整理整頓。
生ゴミや水を放置しないこと。
2. 巣づくりの場所や材料を与えない
紙屑、布きれ、ビニール、ゴムなどを放置しないこと。
3. 出入口をふさぐ
通気口には金網を張り、パイプの貫通部分の隙間をふさぐ。
荒川区は2センチメートル程度の穴でも通りぬけることがあるとし、葛飾区は1.5センチメートル以上の穴を見つけたら補修することが大切だとしています。
侵入口になりやすい場所と、ふさぐときの材料は、こちらにまとめています。

駆除剤をどれにしようか悩んでいる時間で、環境的防除を進めたほうが結果的に効いてくるかもしれません。
少なくとも荒川区は公式サイトでそう語っています。
毒餌や粘着剤以外には、超音波装置を置くというのもひとつの方法です。
超音波機器についてはこちらにまとめました。

自分でできる対処法はこの記事にまとめています。

置いたあとにすること
駆除剤は置いて終わりではありません。
確認が必要なんですよね。
葛飾区は、毒えさも粘着板も必ず点検できる場所に置くようにとしています。
天井裏の奥や家具の裏に投げ込んだきり、どこに置いたか分からなくなる置き方は避けましょう。
そして、かかった場合や死骸を見つけた場合はすぐ処分するようにともしています。
ネズミの死骸を放置すると、ねずみに寄生していたイエダニが人を刺したり、ハエが発生するためです。
薬剤で駆除するということは、死骸が出るということでもあります。
確認しやすく、後処理もしやすい場所を探して設置できるといいですね。
ちなみに市街の処分方法はごみの区分が自治体ごとに違いますので、お住まいの自治体の案内を確認してください。
粘着シートを併用する場合
葛飾区が挙げている駆除方法は、毒えさと粘着板の2つです。
粘着板については、台所や廊下、天井裏などねずみが走り回る場所に置くのが効果的で、枚数は1枚より2枚と、数が多いほうがかかりやすいとしています。
当たり前ですが数は増やせば増やすほど駆除成功率が高まります。
置く場所はネズミの習性を利用するのがおすすめ。
ネズミは通路や物陰に沿って行動し、通り道は一定している。
壁際や物陰を選ぶ理由がここにあります。
もうひとつ、荒川区のサイトにはこうも書いています。
新しいものや状況には特に警戒心が強く、ワナを仕掛けるときは普段の状態からあまり変えないほうがよい。
まわりを大きく動かしてから仕掛けるより、いつもの状態のまま置くほうがよい、ということです。
製品としては、防水台紙を使ったもの、折って立体的に置けるブック型、屋根裏向けとして売られているもの、業務用の大判などがあります。
枚数を並べることが前提になりますので、ある程度まとめ買いするといいですね。
自分での対処が難しいと感じたら
葛飾区は、自分ですき間をふさぐことができない場合や、危険が伴う配電盤等の穴をふさぐ場合は、専門の業者に依頼するようすすめています。
また侵入口が分からず、いつもネズミが通っている通路が分からない。
自分で粘着シートや駆除剤を設置するのが難しい。
こういう場合は害獣駆除業者に依頼するのもおすすめです。
しろうとでは対処できない場所まで徹底的に対応してくれます。
業者に頼むかどうかの判断材料は、ネズミ駆除全体をまとめたこちらで扱っています。

よくある質問
Q. 置いても食べてくれません。場所を変えたほうがいいですか?
葛飾区は、食べないからといってすぐ場所を変えず、慣れるまで時間がかかるので少なくとも1週間程度は様子を見るとしています。
1週間経っても駆除剤に何の変化もないなら場所を変えてみるといいですね。
Q. 屋外に置いてもいいですか?
葛飾区の公式サイトには、毒えさを屋外には置かないようにと書かれています。
理由は他の生物に影響を与えるためです。
薬剤は少なからず他の生物に影響を与えます。
自治体の公式サイトなどで確認して、その指示に従うようにしましょう。
Q. どの成分を選べばいいですか?
ネズミの種類によって効きやすさが違います。
またクマネズミの中には薬剤に抵抗力がある個体も登場しています。
なので、成分よりも家に出ているのがどの種類かを確認してみてください。
そのうえで、該当のネズミが対象なのかどうか、置きたい場所に対応しているかどうか、等を総合的に判断してみてください。
Q. 子どもやペットがいる家でも使えますか?
製品には、人や動物にも有害であること、乳幼児・小児やペットが容易に近づける場所では使用しないことが注意書きとして書かれています。
保管についても、食品や食器と区別すること、手の届かないところに置くことが求められています。
使えるかどうかは、製品ごとの注意書きと、その保管ができるかどうかで判断してください。
万一誤って口に入れた場合は、自己判断せず医療機関等に相談してください。
Q. 効果が出るまでどれくらいかかりますか?
効果が出るまでの時間は、置き場所やネズミの種類などの条件によって変わるため、一概には言えません。
公的資料の範囲で言えるのは、食べないからといってすぐ場所を変えず、少なくとも1週間程度は様子を見るようにとされているということです。
置いてすぐ結果が出ることもありますが、そうでないことも多い、ということを理解して設置しましょう。
駆除剤の棚の前で決めることは、そう多くありません。
有効成分がどの系統か。
区分の表示が、使いたい場所に合っているか。
剤形が、置きたい場所に置けるか。
見るのはこの3点です。
そしてその3点より前に、家に出ているネズミの種類と、餌・巣材・侵入口の状態のほうが結果を左右します。
荒川区が書いているとおり、薬剤は補助です。
補助である薬剤が十分に働く環境を先に作ってから、購入するのがおすすめです。



