ネズミ駆除は、方法そのものより「どの方法が自分の家に合うか」を見極めるほうが難しい作業です。
同じ罠でも効く家と効かない家があり、その差は住み着いているネズミの種類で決まることが少なくありません。
この記事では、自分でやるか業者に頼むかの判断基準と、種類ごとに変わる駆除法の違いを整理します。
細かい手順はそれぞれの記事に分けているので、必要なところから読み進めてください。
すでに種類の見当がついている方は「種類によって有効な駆除法が変わる」から、業者に頼むか迷っている方は「業者に頼む場合」から読んでもらって問題ありません!
ネズミ駆除は「自分でやる」か「業者に頼む」かで決まる
最初に決めるのは、どの薬剤を買うかではありません。
自分で侵入口を塞げるかどうか——ここが分かれ目になります。
ネズミは餌と巣がある場所に通い続けるため、通り道が残っていれば、捕まえても別の個体が入ってきます。
逆にいえば、侵入口を自分の手が届く範囲で塞げるなら、市販品でも十分に対処できる可能性があります。
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| 侵入口が見える範囲にあり、自分で塞げる | 自分で対処できる |
| 被害が台所や物置など限られた場所にとどまっている | 自分で対処できる |
| 気づいてから日が浅い | 自分で対処できる |
| 天井裏・床下など、入れない場所に巣がありそう | 業者を検討 |
| 侵入口が特定できない、または数が多い | 業者を検討 |
| 市販品を試したが状況が変わらない | 業者を検討 |
| 飲食店など、衛生管理の基準がある場所 | 業者を検討 |
「業者を検討」に当てはまる項目が一つでもあれば、自分で進めても振り出しに戻る可能性が高くなります。
特に「市販品を試したが変わらない」という状態は、駆除の腕の問題ではなく、通り道が残っているか、種類に合っていないかのどちらかであることが多いところです。
判断がつかないうちは、次の「種類の確認」から進めてください。
種類がわかると、自分でできることの範囲も、市販品で足りるかどうかも見えてきます。
家にいるネズミの種類を確かめる
家の中に住み着くネズミは、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種にほぼ絞られます。
この3種はあわせて「イエネズミ」と呼ばれ、体の大きさ・好む場所・警戒心の強さも違います。
なかでも住宅で問題になりやすいのはクマネズミで、東京都荒川区では、保健所に寄せられる相談のほとんどがクマネズミに関するものだと説明しています。
| ドブネズミ | クマネズミ | ハツカネズミ | |
|---|---|---|---|
| 体長 | 22〜26cm | 15〜20cm | 6〜9cm |
| 糞の大きさ | 1〜2cm | 0.6〜1cm | 0.4〜0.7cm |
| 尾 | 体長より短い | 体長より長い | — |
| 耳 | 厚くて小さい | 大きい | — |
| 主な生息場所 | 厨房・台所・浴室など地上周辺 | 天井裏など高所 | 畑地やその周辺。人口密集地には少ない |
| 警戒心 | あまり強くない | かなり強い | あまり強くない |



出典:葛飾区「ねずみ駆除の手引き」/荒川区「ネズミの上手な退治法」
姿を見ていなくても、糞の大きさと、音がする場所の高さである程度は絞り込めます。
天井裏から音がするならクマネズミ、台所まわりで見かけるならドブネズミ、の可能性が高いです。
クマネズミは警戒心がかなり強いため、姿を見ないまま被害だけが続くことがあります。
「何かいるのに見つからない」という状態は、それ自体が種類を絞る手がかりになります。
見分け方は次の記事で詳しく扱っています。

種類によって有効な駆除法が変わる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
葛飾区は、3種それぞれについて、殺そ剤の効きやすさと捕まえやすさを整理しています。
| ドブネズミ | クマネズミ | ハツカネズミ | |
|---|---|---|---|
| 殺そ剤への感受性 | 高い(よく効く) | 低い(効きにくい) | 高い(よく効く) |
| 捕獲の難易度 | 比較的捕まえやすい | 非常に難しい | 容易 |
注目してほしいのは、クマネズミは殺そ剤が効きにくく、捕獲も非常に難しいとされている点です。
葛飾区によると、毒えさがご飯がわりになるような免疫性を持った個体も出てきているそうです。
住宅の相談で多いのがクマネズミであることを考えると、殺鼠剤や粘着シートを買ってきたのに手応えがない、という状況は珍しくないことになります。
では、何をすればいいのでしょうか。
葛飾区は、家を点検して侵入口を見つけてふさぐことが効果的だとしています。
あわせて、食品は密封できる容器に収納すること、台所から出る生ゴミは回収日までふたの締まる容器で保管することもすすめています。
地味な作業ですが、種類を問わず土台になるのはここです。
殺鼠剤や粘着シートは、この上に足すものだと考えてください。
ネズミの防除について、さらに詳しく知りたい方はこちらも参考になります。


法律上、駆除してよいネズミとそうでないネズミがある
ネズミは法律と無関係、と思われがちですが、そうではありません。
鳥獣保護管理法80条1項は、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣で環境省令が定めるものについて、同法を適用しないと定めています。
そして同法施行規則78条が、その対象としてねずみ科のドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種を挙げています。
適用除外はこの3種だけです。
アカネズミのような野ネズミは、引き続き鳥獣保護管理法の対象になります。
もし自宅が屋外や山林に近いなら、自分で駆除して良いかどうか、まずは種類の確認が先になります。
出典:e-Gov 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則
なお、捕獲の可否や取り扱いは状況によって変わります。
詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。
自分で駆除する手順の全体像
自分でやる場合の流れは、次の5段階です。
- 種類の特定:糞の大きさ、音のする場所、見かけた場所から絞り込む
- 餌と巣の材料を断つ:食品を密閉容器に移し、生ゴミはふたの締まる容器へ。紙屑や布きれを放置しない
- 侵入口の封鎖:配管まわり、換気口、床下や屋根の取り合いなど、外とつながる開口部を確認して塞ぐ
- 駆除:種類に合わせて殺鼠剤・粘着シートなどを選ぶ
- 清掃と維持:糞尿や巣の材料を取り除き、換気しながら片づける。片づけた状態を保つ
順番通りに進めることが大切です。
例えば3の封鎖より先に4の駆除を始めると、減らしたのにまた侵入されてしまいます。
荒川区も、捕獲器具や薬剤による駆除は補助的なものであり、環境的防除を行ってはじめて効果が出ると言っています。
ただし、墨田区の資料によると、ネズミでもいきなり侵入口を全部ふさぐと、天井裏や床下などで死んで悪臭やハエが発生することがある、と解説しています。
出典:墨田区「ネズミの防除」
私としては墨田区の案内の通り、ふさぎやすい穴だけ残しておいてネズミを追い出す。
その後に、最後の穴をふさぐ、というのが良さそうに感じます。
進入路のふさぎ方の手順は、こちらにまとめています。

もし屋根裏にいるのがイタチやハクビシン、コウモリ場合も、追い出してからふさぐ順番になります。
追い出してからでないと、閉じ込めることになるためです。

2と3を飛ばして道具から入ると、補助である道具が十分に活躍できる状態がまだできていないことになります。
片づけて終わりにせず、食品の置き方や収納の仕方まで見直しておくと、同じ状態に戻りにくくなりますよ。
種類の見分けと侵入口の探し方は、それぞれ別の記事にまとめました。



市販グッズは何を選べばいいか
ホームセンターやネットで手に入るものは、大きく4種類に分かれます。
- 殺鼠剤:食べさせて駆除するタイプ。使用量や置き方は製品の説明書に従ってください。
- 粘着シート:通り道に敷いて捕まえるタイプ。警戒心の強い個体には避けられることがあります。
- 忌避剤:においで寄せつけにくくするタイプ。
- 超音波装置:音で遠ざけることをねらうタイプ。設置場所や部屋の形の影響を受けます。
選ぶときは、まず種類の見当をつけてからにしてください。
クマネズミが相手であれば、殺鼠剤や粘着シートに期待度が下がるため、封鎖と片づけに手間を回したほうが結果につながりやすくなります。
どれを選ぶにしても、前提になるのは侵入口をふさぐことと、餌を断つこと。
そして、巣の材料となるものを片付けることです。
餌や入口が残っていれば、駆除グッズで状況を変えられる可能性は低くなります。


業者に頼む場合
次のような状態なら、業者に相談したほうが早く片づきます。
- 天井裏や床下など、自分では入れない場所に巣がありそう
- 侵入口が見つからない、または複数あって塞ぎきれない
- 市販品をひと通り試したが、糞や音が減らない
- 建物が古く、開口部の補修まで必要になりそう
- 飲食店や店舗など、衛生管理の基準がある
業者に頼む利点は、駆除そのものに加えて侵入口の特定と封鎖まで含めて任せられる点にあります。
見えない場所の点検と施工が必要になるほど、自分でやるのは難しくなります。
相談する際は、糞を見つけた場所、音がする時間帯と方向、これまでに試した対策を伝えられるようにしておくと話が早く進みます。
ただ、駆除業者は対応地域が限られているケースがあります。
例えば、害獣プロガードの対応エリアは次のとおりです。
- 関西:兵庫・大阪・京都・奈良・滋賀・和歌山
- 関西以外:東京・埼玉・千葉・神奈川・愛知・三重
対応エリア外にお住まいの場合は、市販品での対処が中心になります。
こちらの記事をチェックしてみてください。

よくある質問
Q. 放っておけば、そのうちいなくなりますか?
餌と巣の材料がある限り、住み着いたままになりやすいと考えてください。
食品を密閉し、不要なものを減らすところから始めるのが現実的です。
Q. 天井裏で音がします。どの種類でしょうか。
高いところを好むのはクマネズミです。
ただし音だけで決めつけず、糞の大きさなども合わせて確認してください。

Q. 超音波装置だけで追い出せますか?
設置場所や部屋の形に左右されるため、これだけに頼る使い方はおすすめしません。
侵入口の封鎖と餌の管理を土台にして、補助として組み合わせるのが無難です。

Q. 殺鼠剤はどれくらい使えばいいですか?
使用量や設置方法は製品ごとに異なります。
必ず製品の説明書に従ってください。
Q. 駆除したあとの掃除で気をつけることは?
糞尿や巣の材料・素材は、感染症やアレルギーの原因になることがあります。
手袋とマスクを着け、換気をしながら処理してください。
ネズミの種類がわかれば、効く方法も、自分でやれる範囲も見えてきます。
まずは糞の大きさと音のする場所から、家にいるネズミを絞り込むところから始めてみてください。

