天井裏や床下に動物がいるとわかったときは、駆除したり追い出したりしたいですよね!
さっさと手間なく、楽に駆除したい!
そんな気持ちになります。
ただ、「害獣」と呼ばれる動物の多くは、実は法律の上では守られている「鳥獣」でもあります。
この記事では、鳥獣保護法の骨組みと、家に出やすい7種の動物が法律の上でどう扱われているのかを、国や自治体の資料で確認していきます。
鳥獣保護法とは
正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」で、環境省はこれを「鳥獣保護管理法」と略しています。
この記事では、検索でよく使われる「鳥獣保護法」という呼び方で進めます。
環境省の説明を要約すると、この法律の目的は、鳥獣の保護と管理、そして狩猟の適正化を図ることを通じて、自然環境の恵沢を受け取れる国民生活を確保することにあります。
法律の第2条第1項は、「鳥獣」を「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定めています。
環境省の公式サイトでも、この定義が紹介されています。
「鳥獣」の概念には、平成14年の法改正によりネズミ・モグラ類が含まれることとなった、と環境省が説明していますね
一方で環境省によると、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣や、他の法令で保護管理がなされている鳥獣として、いえねずみ類3種などは法律の対象外とされています。
その3種、法律の第80条を受けた施行規則の第78条に、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミと書かれています。
法律の対象から外れるかどうかは、「害獣」と呼ばれるかどうかではなく、法律と施行規則で決められています。
ここが、まず押さえておきたいところですね。
出典:環境省「鳥獣保護管理法の概要」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則」
原則は「捕まえてはいけない」。例外は許可と狩猟
鳥獣保護法によると、原則として捕獲してはいけません。
「え?そうだったの?」という声が聞こえてきそうですが。。。
私も知ったときはそうでした!
捕獲・殺傷は原則として禁止
環境省の公式サイトでは、次のように説明されています。
「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律では、鳥獣又は鳥類の卵については、狩猟により捕獲する場合を除いて、原則としてその捕獲、殺傷又は採取(以下「捕獲等」という)が禁止されています。」
この原則を定めているのが、法律の第8条です。
第8条に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲等した場合などについて、法律の第83条は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金を定めています。
罰則まで完備されています。
許可を受ければ捕獲できる場合がある
ただし、捕獲等が一切認められないわけではありません。
「生態系や農林水産業に対して、鳥獣による被害等が生じている場合や学術研究上の必要性が認められる場合などには、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて、鳥獣又は鳥類の卵を捕獲等することが認められています。」と、環境省は説明しています。
さらに、多くの都道府県では、その捕獲許可権限の一部を市町村長に移譲している、ようですね。
まずはお住まいの市区町村に聞いてみるのが近道になりそうです。
狩猟は「狩猟鳥獣」だけが対象
捕獲等には、許可を受ける方法のほかに、狩猟という方法もあります。
環境省の説明では、狩猟は、狩猟期間に法定猟法で狩猟鳥獣を捕獲等することで、対象は狩猟鳥獣46種です。一方の許可捕獲は、法律で定める目的のために許可を受けて行う捕獲等で、狩猟鳥獣以外の鳥獣も対象になり、許可の申請が必要とされています。
狩猟を行うためには、狩猟免許を取得したうえで、狩猟をしようとする都道府県に狩猟者登録をし、区域・期間・猟法など法令で定められた制限を守る必要がある、と環境省は説明しています。
狩猟鳥獣は46種類あり、内訳は鳥類26種・獣類20種です。
なお、狩猟鳥獣についても、都道府県によっては捕獲が禁止されていたり、捕獲数が制限されていたりする場合がある、とのことです。
狩猟には免許の取得と登録、法令順守が前提になっているので、「狩猟鳥獣だから誰でも自由に捕まえてよい」というわけではありませんね。
家に出る動物を退治するために狩猟免許を取るのは、ちょっとハードルが高いし手間がかかりますね。。。
出典:環境省「捕獲許可制度の概要」/環境省「狩猟制度の概要」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
害獣別に見る鳥獣保護法での扱い
ここからは、家に出やすい7種の動物が、法律の上でどう扱われているのかを順に見ていきます。
それぞれの動物の詳しい対策は、個別の記事で扱います。
ネズミ
施行規則で対象外とされているのは、いえねずみ類3種(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)だけです。
ネズミ科の動物すべてが対象外というわけではありません。
対象外になる根拠の条文や、ほかのネズミの扱いは、こちらで詳しく確認できます。

コウモリ
環境省の狩猟鳥獣46種の一覧に、コウモリは入っていません。
つくばみらい市の公式サイトによると。。。
- コウモリはもともと日本に生息している生きものなので、市では駆除や捕獲を行っていない
- 野生のコウモリの捕獲・殺傷は法律で禁止されている
- 追い払いや侵入予防は自分か業者で対応し、費用は自己負担になる
とのことです。
イタチ
狩猟鳥獣の一覧には「イタチ(雄)」と「シベリアイタチ(長崎県対馬市の個体群を除く。)」が載っています。
「イタチ」には(雄)と付いていますが、「シベリアイタチ」には雄雌の限定がありません。
大阪府の公式サイトでは、イタチを捕獲するには市町村長の捕獲許可が必要だと案内されています。
ハクビシン
東京都環境局によると、ハクビシンは鳥獣保護管理法に基づく狩猟鳥獣で、あわせて「生態系被害防止外来種リスト」の重点対策外来種にも挙げられているとのことです。
同じページでアライグマは「特定外来生物」と書かれていますが、ハクビシンは重点対策外来種なんですね。
アライグマ
東京都環境局によると、アライグマは鳥獣保護管理法に基づく狩猟鳥獣であると同時に、外来生物法に基づく特定外来生物でもあるとのことです。
鳥獣保護法だけでなく、別の法律も関わってくる動物だということです。
タヌキ
狩猟鳥獣の一覧にはタヌキも含まれています。
練馬区の公式サイトによると、
- 床下に住み着いた場合はいなくなった後に侵入口をふさぐ
- 捕獲を希望する場合は捕獲許可をもつ専門業者に相談する
- 区は在来種であるタヌキの捕獲・保護は行っていない
とのことです。
ハト
狩猟鳥獣の一覧には、キジバトは入っていますが、ドバトは入っていません。
東京都環境局によると、ドバトの巣は卵を産んでしまっている場合は許可なく撤去できない一方、巣だけの撤去には特別な許可は必要ないとのことです。
練馬区は、巣立ち前に撤去する場合は捕獲許可をもつ専門業者に依頼するよう案内しています。
出典:環境省「狩猟制度の概要」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則」/つくばみらい市「コウモリを見かけたら」/大阪府「イタチでお困りの方へ」/東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」/練馬区「野生鳥獣との接し方」/東京都環境局「野生鳥獣との接し方について」
鳥獣保護法のほかに関わる法律
害獣対策には、鳥獣保護法の他にも関係する法律があります。
ひとつは、外来生物法です。
東京都環境局によると、アライグマは鳥獣保護法の狩猟鳥獣であると同時に、外来生物法に基づく特定外来生物にもあたるとのことです。
外来生物法の中身については、別の記事で扱う予定です。
もうひとつは、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)です。
環境省は、愛護動物を虐待したり捨てたりすることは犯罪だとしています。
愛護動物には牛や馬などとあわせて猫も挙げられていて、家のまわりの猫には、この法律も関わってきます。
出典:東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」/環境省「虐待や遺棄の禁止」
困ったときの考え方
鳥獣保護法が原則として禁止しているのは、鳥獣の捕獲・殺傷と、鳥類の卵の採取などです。
そのうえで大阪府は、追い出しなどの対策をしても被害がなくならない場合に、捕獲が必要になることがあると案内しています。
練馬区も、床下に住み着いたタヌキについて、いなくなった後に侵入口をふさぐよう案内しています。
追い出しの具体的な手順は、こちらにまとめています。

自分でできる範囲については、こちらを参考にしてください。

天井裏や床下の音の正体がまだわからない場合は、こちらから確認してみてください。

出典:環境省「捕獲許可制度の概要」/大阪府「イタチでお困りの方へ」/練馬区「野生鳥獣との接し方」
まとめ 意外と関連する法律は多い
害獣駆除は好き勝手にやっていい。
そう思っていました。
しかし、調べれば調べるほど、意外と気にしないといけない法律が多いことが分かりました。
自宅を守りたいだけなんですけどね。。。
もし家に現れる害獣の種類が分かったなら、ネット検索してみてください。
もしかすると勝手に対処してはいけないという規定があるかもしれません。
法律は「知らなかった」では済まされない部分です。
十分に注意して、害獣対策をしていきましょう!
