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アライグマは外来種?原産地と日本の生息地、飼えるかを資料で確認

アライグマ 外来種 アライグマ

夜道や畑のそばで、しま模様のしっぽの動物を見かけた。

あれがアライグマだとしたら、外国の動物がどうして日本の野山にいるのだろう、と不思議に思ったかもしれません。

見た目はかわいいので、ペットとして飼えるのか気になっていませんか?

 

ここでは、環境省の資料と外来生物法の条文を手がかりに、どこから来て、いまどこにいて、飼ってよいのかを順にたどっていきます。

 

アライグマは北米原産の外来種

環境省 生物多様性センターのパンフレットでは、アライグマの欄に「原産地:北米大陸」とあります。

もう少し細かく書いているのが、環境省の「アライグマ防除の手引き」です。

「原産地は、アライグマがカナダ南部、アメリカ合衆国、中央アメリカとその周辺地域であり、カニクイアライグマは中央アメリカのコスタリカ、パナマから南アメリカです。」

東京都環境局は、アライグマの原産地を北アメリカから中央アメリカとして紹介しています。

 

国の法律での扱いについて、パンフレットは次のように記載しています。

「2005年(平成17年)に外来生物法による特定外来生物に指定され、全国的に捕獲などによる防除が進められています。」

 

環境省の「特定外来生物等一覧」を見ると、アライグマ属のアライグマ(P. lotor)の定着状況の欄は「定着」です(2026年10月21日に確認)。

同じ属のカニクイアライグマ(P. cancrivorus)は「未定着」とされています。

 

環境省の「生態系被害防止外来種リスト」にも、アライグマは載っています。

第1版は2015年(平成27年)3月26日付で、アライグマは総合対策外来種の中の「緊急対策外来種」の区分に入っていました。

2026年(令和8年)9月11日付の第2版では区分が整理され、アライグマのカテゴリの欄は「防除推進外来種」となっています。

 

よく比べられるハクビシンは、特定外来生物等一覧には載っていません。

ハクビシンが外来種としてどう扱われているかは、ハクビシンについての記事にまとめています。

ハクビシンは外来種?特定外来生物との違いを環境省の資料で確認
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タヌキやハクビシンとどう見分けるかは、こちらにまとめました。

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出典:環境省 自然環境局 生物多様性センター「分布を拡大し続ける外来哺乳類」(平成30年3月)/環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)/東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」/環境省「特定外来生物等一覧」(2026年10月21日に確認)/環境省「生態系被害防止外来種リスト」(2026年10月21日に確認)

 

日本で野生化した経緯

日本で最初の記録について、パンフレットと手引きで同じような書かれ方をしています。

 

パンフレットには「アライグマが最初に報告されたのは」という囲みがあり、こう書かれています。

「アライグマの野生化が国内で最初に報告されたのは1962年(昭和37年)、愛知県犬山市の事例であるとされています。」

「同市にある動物飼育施設で飼育されていたアライグマ12頭が柵から脱走したものです。」

 

一方の手引きは、「日本における導入と定着の経緯」の項で次のように記載しています。

「1962(昭和37)年に、愛知県の動物園から逃亡した個体の定着が岐阜県可児市で確認され、これが日本における最初の定着記録とされています。」

 

また1977年のことについて、手引きは次のように記載しています。

「1977(昭和52)年にアライグマを主人公とするテレビアニメが全国ネットで放映されて以降、アライグマはかわいい動物だというイメージが広がり、ペットとして大量に輸入されました。」

これは間違いなく「あらいぐまラスカル」のことですね。

アライグマ 対策 駆除

 

一方で性格についてこのように書かれています。

「しかし、成長すると粗暴になる個体が多く、飼育に困難を伴うようになって遺棄されたり、前肢が器用で飼育施設から逃亡したりして、全国各地で定着が進みました。」

 

パンフレットも、いま日本にいるアライグマの由来について、こう書いています。

「現在、国内に定着しているアライグマは、この時期に輸入された個体に由来すると考えられます。」

 

自治体の案内もあわせて見ておきます。

船橋市は、アライグマについて「元々はペットとして日本に持ち込まれ、野生化しました。」と説明しています。

 

出典:環境省 自然環境局 生物多様性センター「分布を拡大し続ける外来哺乳類」(平成30年3月)/環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)/船橋市「【特定外来生物】アライグマにご注意ください」

 

アライグマの生息地:日本のどこにいる?

パンフレットのアライグマの分布のページは、次の見出しで始まります。

「北海道・本州・四国・九州に定着し、分布域の拡大が著しい」

 

本文では、2005〜2006年の調査と比べて、こう記載されています。

「2005〜2006年(平成17〜平成18年)のアライグマの分布(種の多様性調査:生物多様性センター)と最新の分布を比較すると、分布範囲が著しく拡大しています。」

「とくに北海道日本海側、青森県西部、宮城県仙台平野から福島県浜通りで拡大し、関東地方、東海地方、近畿地方では市街地を含む全域で確認されるようになりました。」

 

ここでいう最新の分布は、パンフレットの分布図の題にある「最新の分布状況(2010〜2017年)」のことです。

分布図の注には「恒常的な分布に限らず、一時的に目撃された情報等も含まれているため注意が必要である。」とも添えられています。

 

分布図そのものは、パンフレットのPDFで確認できます。

環境省 自然環境局 生物多様性センター「分布を拡大し続ける外来哺乳類」(PDF)

 

2026年9月の生態系被害防止外来種リスト第2版でも、アライグマの「日本での分布」の欄は「北海道、本州、四国、九州。」です。

「生息環境等」の欄には「市街地、農地、草地、河川敷、森林。」と並んでいます。

 

暮らせる環境の広さについては、手引きの「多様な環境で生息が可能」の欄に、次の項目があります。

「寒冷な北海道から温暖な九州まで、生息が可能である。」

 

パンフレットのアライグマの欄にも、「雑食性で多様な環境に適応できるアライグマは、分布域の拡大が著しく進んでいます。」とあります。

 

出典:環境省 自然環境局 生物多様性センター「分布を拡大し続ける外来哺乳類」(平成30年3月)/環境省「生態系被害防止外来種リスト」(2026年10月21日に確認)/環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)

 

増えた背景と、在来の生き物への影響

天敵については、手引きに記述があります。

手引きの「他種との関係」の欄には、「日本では強力な天敵や競争種となる動物がほとんどいないと考えられる。」と書かれています。

 

東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンについて、さまざまな環境で暮らせることや繁殖力の高さから、数が増えて分布も広がったのではないかと考えられている、と説明しています。

 

もともと日本にいた生き物への影響も、資料に出てきます。

「これらの在来の動物にとって、アライグマは経験したことのないタイプの捕食者である。」

 

2014年版の手引きは、生態系被害の項でこう記載しています。

「今のところ生態系被害を明確に示す資料は多くありませんが、特に小動物への影響が懸念されています。」

 

2026年の外来種リスト第2版の備考の欄には、次のように書かれています。

「本州ではアベサンショウウオをはじめとしたサンショウウオ類や、ヤマアカガエルなどのカエル類、ニホンイシガメ等の捕食が見られている。」

 

東京都環境局も同じように、アライグマによる在来生物への影響が懸念されているとして、北海道のニホンザリガニやエゾサンショウウオ、神奈川県・東京都のトウキョウサンショウウオ、千葉県・愛知県のニホンイシガメなどの捕食を全国での被害例に挙げています。

 

出典:環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)/東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」/環境省「生態系被害防止外来種リスト」(2026年10月21日に確認)

 

アライグマは飼える?

ペットとして日本に入ってきたアライグマですが、いまは自由に飼える動物ではありません。

 

外来生物法の第4条(飼養等の禁止)は、こう定めています。

「特定外来生物は、飼養等をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。」

ここでいう「飼養等」は、第1条で飼養・栽培・保管・運搬をまとめて指す言葉とされています。

飼うことだけでなく、手元に置いておくことや運ぶことも含まれます。

 

ただし書きの一つめは、第5条第1項の許可を受けた場合です。

第5条第1項には「学術研究の目的その他主務省令で定める目的で特定外来生物の飼養等をしようとする者は、主務大臣の許可を受けなければならない。」とあります。

 

外来種リスト第2版の「日本での利用状況」の欄も、いまの状況をこう記載しています。

「ペットとして飼養されていた。現在は特定外来生物に指定され、輸入・飼養等は規制されているが、許可を受けた個体が動物園等で飼養されている。」

 

許可なくペットとして飼うことは、原則としてできない、ということです。

輸入(第7条)や、人にゆずったりゆずり受けたりすること(第8条の譲渡し等)も、ただし書きの場合を除いて禁じられています。

 

野外に放すことも、第9条(放出等の禁止)で、ただし書きの場合を除いて禁じられています。

外来種リスト第2版の「利用上の留意事項」の欄にも、「逸出には十分な注意を払い、放出しないこと。」とあります。

 

罰則は、何をしたかで条が分かれています。

販売目的ではなく許可なく飼った場合は、第33条第1号の「第四条又は第八条の規定に違反したとき(前条第一号又は第四号に該当するときを除く。)。」に当たり、「一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とされています。

販売や頒布の目的で飼った場合(第32条第1号)や、輸入・野外に放した場合(第32条第3号「第七条又は第九条の規定に違反したとき。」)は、第32条の「三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」の対象です。

 

弱ったアライグマや子どもを見つけて、連れて帰りたくなることもあるかもしれません。

見つけたときにどうするかは、こちらの記事で確認してみてください。

アライグマを見つけたら|近づかない理由と連絡先を資料で確認
アライグマを見つけたら、近づかない・エサをやらない・自分で捕まえない。船橋市や千葉市、中野区などの資料をもとに、目撃の情報を寄せる先や、被害が出ているときの相談先、警察に連絡するものかどうかを確かめます。

 

では、特定外来生物なら自分で捕獲できるのかというと、そうではありません。

船橋市によると、鳥獣保護管理法のもとでは、アライグマも原則として許可なく捕まえることはできません。

捕獲と許可の詳しい話は、こちらに書きました。

アライグマの捕獲に許可は必要?罠と捕まえたときの扱いを法律で確認
アライグマは狩猟鳥獣で特定外来生物でもありますが、原則として許可なく捕獲できません。鳥獣保護管理法の許可と外来生物法の防除という2つの枠組み、区や市の捕獲事業、罠を仕掛けたいとき、捕まえたらどうするかを条文と資料で確認します。

 

鳥獣保護管理法の仕組みは、こちらにまとめています。

鳥獣保護法とは?害獣7種の扱いを公的資料で確認
害獣対策と鳥獣保護法やその他の関連法令についてご紹介します。害獣と言えども、勝手に退治してはいけないケースが多い、という状態です。分かりやすくまとめましたので、ぜひ一度確認してみてください。

 

家や庭に被害が出ているときの対策や、区や市の捕獲事業は、こちらの記事で順を追って整理しています。

アライグマの対策と駆除|家でできることと役所・業者の使い分け
アライグマの対策と駆除を、区や市・東京都環境局・環境省の資料で整理。特定外来生物でも許可なく捕まえられないこと、エサの片づけやネット・電気柵、八王子市が示す追い出してから入り口をふさぐ手順、区や市の捕獲事業と業者に頼む場面を確かめます。

 

出典:e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」/環境省「生態系被害防止外来種リスト」(2026年10月21日に確認)/船橋市「【特定外来生物】アライグマにご注意ください」

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