庭の野菜が荒らされたり、夜中に屋根裏で物音がしたりして、アライグマかもしれないと感じているかもしれません。
特定外来生物なのだから、駆除のために捕まえても問題ないのでは?
罠を仕掛けてもいいのか、もし捕まえてしまったらどうすればいいのか、迷うところですよね。
ここからは、アライグマを捕まえることについて、法律の条文と、環境省・東京都・船橋市の資料に書かれていることを順に見ていきます。
原則として許可なく捕まえられない
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(以下、鳥獣保護管理法)の第8条は、本文で次のように定めています。
「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。」
この条には「ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。」という続きがあります。
そこに挙げられているのは、第9条第1項の許可を受けたときや、第11条第1項の規定で狩猟鳥獣を捕獲等するときなどです。
ここでの「捕獲等」は、法律の第2条第8項で「捕獲又は殺傷をいう」とされています。
捕まえることだけでなく、傷つけたり殺したりすることも、同じ「捕獲等」に入るわけです。
アライグマは、鳥獣保護管理法の施行規則にある狩猟鳥獣の表(別表第二)に載っています。
狩猟の決まりや、ほかの動物が法律の上でどう扱われているかは、こちらでまとめています。

では、特定外来生物でもあるのに、なぜ自由に捕まえられないのでしょうか。
アライグマは、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(以下、外来生物法)の特定外来生物にも指定されています。
それでも、施行規則の狩猟鳥獣の表からアライグマが外れているわけではありません。
特定外来生物だからといって、許可などなしに捕まえられるわけではないんですね。
外来生物法にも、特定外来生物の防除について、都道府県が内容を公示する、市町村が主務大臣の確認を受ける、それ以外の者が主務大臣の認定を受ける、という手続が定められています。
船橋市は、アライグマの捕獲には外来生物法に基づく捕獲のほかに、鳥獣保護管理法に基づく捕獲があるとしたうえで、次のように案内しています。
「同法では、アライグマは原則として許可なく捕獲することが禁止されていますが、ご自宅の天井裏に住みつかれた等の被害が続き、やむを得ず捕獲が必要となる場合においては以下の対応ができます。」
ここでの「同法」は鳥獣保護管理法のことで、「以下の対応」の2つは、このあと見ていきます。
出典:e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則」/e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」/船橋市「【特定外来生物】アライグマにご注意ください」
捕獲の枠組みは2つの法律にある
環境省の自治体向けの手引き「アライグマ防除の手引き」(令和7年3月改訂)には、次のように記載されています。
「アライグマの捕獲をするには、鳥獣保護管理法による許可捕獲か、外来生物法の防除の2つが選択できますが、外来生物法に基づく防除実施計画を策定して計画的に実施することは、捕獲期間や捕獲数の自由度が高く、効果的な対策につながります。」
この文は、防除を進める自治体向けの章に書かれています。
鳥獣保護管理法の許可
鳥獣保護管理法の第9条第1項は、学術研究や、鳥獣の保護・管理などの目的で捕獲等をしようとする者は、環境大臣か都道府県知事の許可を受けなければならない、と定めています。
許可には有効期間が定められ、条件が付くこともあります(同じ条の第4項・第5項)。
有効期間が終わったら、捕獲等の結果を報告することになっています(第13項)。
許可を受けた者のうち、国や地方公共団体などは、申請をして、その監督の下で捕獲等に従事する人(従事者)の従事者証の交付を受けることができます(第8項)。
許可を受けた人も従事者も、捕獲等をするときは、許可証か従事者証を携帯しなければなりません(第10項)。
外来生物法の防除
外来生物法では、都道府県が防除を行うときは、その内容を定めて公示し、主務大臣に通知することになっています(第17条の2)。
市町村は、行う防除の内容について、主務大臣の確認を受けることができます(第17条の4第1項)。
国と地方公共団体以外の者は、行う防除について、主務大臣の認定を受けることができます(第18条第1項)。
出典:環境省「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)」(令和7年3月改訂)/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」/e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」
区や市の捕獲事業は、どの枠組みで動いているか
東京都は「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」を令和8年4月に改定しています。
計画期間は令和8(2026)年4月1日から令和13(2031)年3月31日までで、島しょ部を除く東京都全域が対象です。
捕獲の法手続きについて、計画には次のように書かれています。
「本計画は外来生物法に基づく主務大臣(農林水産大臣及び環境大臣)に防除の通知をすることで、本計画に参加している区市町村及び都は、特定外来生物であるアライグマに関しては鳥獣保護管理法によらず、外来生物法に基づく防除として自らアライグマの捕獲を行うことができる。」
東京都では、計画に参加している区市町村と都が、外来生物法の防除としてアライグマを捕獲できるという位置づけです。
東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画には、アライグマでも、外来生物法の防除ではなく、ハクビシンと同じように鳥獣保護管理法の許可を取って捕獲することが可能だ、とも書かれています。
東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画では、捕獲する自治体が、従事者の氏名や担当地域をまとめた台帳を整え、従事者には外来生物法に基づく捕獲を実施していることを証する書類を発行するとしています。
付属資料の「捕獲等に関する留意事項」には、「捕獲等に当たっては、外来生物法又は鳥獣保護管理法に基づく捕獲等を実施していることを証する書類を携帯すること。」と書かれています。
また、狩猟免許を持たない地域住民も、外来生物法に基づく捕獲の手続きを行うことで、従事者に加えられるとのことです。
東京都の外では、船橋市が次のように案内しています。
「千葉県では「外来生物法」に基づき、アライグマ防除実施計画を策定しています。」
「市ではこの計画に基づき、ワナの貸し出しを行っています。」
事業があるか、どんな住まいや被害が対象か、費用をどう負担するかは、区や市町村によって違います。
対象や費用、わなの置き場所の確かめ方は、ハクビシンの記事でまとめました。
取り上げている区や市の捕獲事業は、ハクビシンだけでなくアライグマもあわせて対応する自治体が多いようです。

出典:東京都「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画(令和8年度改定)」/東京都「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画に基づく捕獲等に関する留意事項」/船橋市「【特定外来生物】アライグマにご注意ください」
自分で罠を仕掛けたいとき:個人で許可を取る
被害が続いていて、自分の家や庭に罠を仕掛けたいと考えることもあると思います。
その場合に関わってくるのが、鳥獣保護管理法の第9条第1項の許可です。
環境省の手引きの表2-1は、左の列に「外来生物法に基づく防除による捕獲」、右の列に「鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲(狩猟以外)」を置いて、項目ごとに比べた表です。
右の列の「狩猟免許非所持者の扱い」の欄には、次の記載があります。
「捕獲個体を適切に処分でき、かつ住宅等の建物内や農地等での被害を防止する目的で、土地所有者自らが小型の箱わなで捕獲する場合は、免許非所持者であっても捕獲許可の申請が可能」
書かれているのは「申請が可能」というところまでです。
申請後、どれくらいの確率で許可が出るのかというところは不明です。
船橋市が挙げている2つの対応のうち、ひとつは「2.個人で許可を取得する」です。
許可については、千葉県の地域振興事務所に相談するよう案内しています。
許可を出す側については、こちらの記事でも触れています。

許可などの枠組みの外で罠を仕掛けて捕獲することは、鳥獣保護管理法の第8条で原則として禁止されたままです。
申請の可否や条件の有無は各自治体によって違うようです。
都道府県・市区町村の公式サイトなどを確認してみるといいでしょう。
出典:環境省「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)」(令和7年3月改訂)/船橋市「【特定外来生物】アライグマにご注意ください」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
捕まえてしまったら・罠にかかったら
捕まえたあとのアライグマの扱いにも、決まりがあります。
外来生物法では、特定外来生物を飼うこと、保管や運搬をすること、野外に放すことが、原則として禁止されています。
その例外を定めているのが、外来生物法の施行規則の第2条です。
第19号は、鳥獣保護管理法の第9条第1項・第11条第1項・第13条第1項の規定に基づいて捕獲等をした特定外来生物を、処分するために一時的に保管・運搬することを挙げています。
第11号は、国や地方公共団体の職員が、職務として緊急に引き取り、処分するために一時的に保管・運搬することを挙げています。
許可などに基づいて捕まえた場合や、職員が緊急に引き取る場合に、処分のための一時的な保管・運搬が例外になるという形です。
環境省の手引きの表2-1でも、「捕獲個体の取扱い」の行に次のように書かれています。
- 特定外来生物を防除に必要な範囲で一時的な保管や生きたまま移動(処分場への運搬等)ができる
- 特定外来生物を処分のため一時的に保管又は運搬をすることができる
飼うことや放すことが外来生物法でどう定められているか、罰則も含めて、こちらにまとめています。

東京都の計画では、アライグマやハクビシンが錯誤捕獲などで確保された場合は、原則として放さず、確保された場所の市区町村が取り扱うとしています。
アライグマ用のわなに、別の動物がかかった場合について、手引きには次の記載もあります。
「なお、アライグマの捕獲を目的に設置したわなに、ハクビシンやタヌキなどの非標的種が捕獲されることがよくあります。」
「こうした場合、直ちに放逐すれば捕獲に関する許可は不要ですが、もし殺処分等を行う場合には、捕獲された種に対する鳥獣保護管理法に基づく許可が必要になります。」
ここでの「非標的種」は、アライグマ以外の動物のことです。
もし、思いがけずアライグマを捕まえてしまったら、住んでいる区や市に連絡して相談するのがよいと思います!
連絡先の探し方は、こちらでまとめています。

出典:e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行規則」/e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」/環境省「アライグマ防除の手引き(地域から構築する効果的な防除)」(令和7年3月改訂)/東京都「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画(令和8年度改定)」
業者に頼む場合
船橋市が挙げているもうひとつの対応は「1.駆除業者へ依頼する」です。
土地所有者が民間の駆除業者に直接頼む形で、費用は自己負担になります。
害獣プロガードの対応エリアや受付、依頼の流れは、こちらにまとめています。

業者に頼むかどうかの考え方や、区や市・業者の使い分けは、こちらでまとめています。

出典:船橋市「【特定外来生物】アライグマにご注意ください」/e-Gov法令検索「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」


