天井裏に何かいるようだ。
庭の果物が食べられている。
「もしかしてハクビシンかも」と思ったとき、市役所や区役所に頼めるのか、補助があるのか気になりますよね。
ここでは、区や市の捕獲事業の内容を、お住まいの市区町村に問い合わせるときに確かめておきたい点の順に整理していきます。
区や市がハクビシンの捕獲をしている理由
東京では、行政がハクビシンの駆除に関わる仕組みがあります。
練馬区によると「都は、平成25年に「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」を策定し、都民の生活被害の軽減を図っています。」ということです。
練馬区や中野区、小平市や世田谷区も、この計画に参加しています。
(東京都の全自治体が参加しているかどうかは不明です。)
こうした事業は、自分でハクビシンを捕まえる代わりに使える方法です。
自分でハクビシンを捕まえてしまうと、リスクもあります。
日野市は、「市の事業を使わず、ご自身で用意した箱わな等で捕獲した場合、市では対応できません。」と表明しています。
自分で捕まえることと許可の関係は、別の記事で詳しく見ていく予定です。
鳥獣保護法そのものの仕組みは、こちらにまとめています。

ここで紹介する各自治体の事業の内容は、2026年10月5日に各自治体の公式サイトで確認したものです。
今回参照した資料は、東京都内の区市と、千葉県の1市のものです。
事業の中身は変わることもあるので、申し込み方法とあわせて、お住まいの市区町村の公式サイトで確かめてみてください。
出典:練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/小平市「ハクビシンとアライグマについて」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/日野市「アライグマ・ハクビシンによる被害でお困りの方へ」
ポイント1:どんな被害なら対象になるか
最初に確かめたいのは、今の被害が事業の対象になるかどうかです。
豊島区は、箱わなを置く条件の1つとして「実際に被害が発生している(棲みついている、家庭菜園などが食い荒らされているなど)」を挙げています。
練馬区と板橋区も同じように、天井裏や屋根裏への侵入か、果樹や家庭菜園の食害のどちらかがある場合を対象としています。
日野市の申請要件は、申し込む市民が所有して住んでいる家屋に、ハクビシンなどが侵入した状況であることです。
似たような条件ですが、自治体によって少しずつ違っています。
ほかにも、条件の書き方はさまざまです。
中野区は、自宅に住み着いている、家庭菜園などを食い荒らされる、毎日のようにふん尿をされるといった被害を「継続的に」受けている場合に対応できるとしています。
目黒区では、家屋などに侵入されて、ふん尿などの被害を実際に受けていることが要件で、被害があるかどうかは委託事業者が現地調査で判断します。
八王子市は、防除対策を行っても被害が防げない場合に、箱わなを設置できるとしています。
小平市のように、とくに被害がなくても、相談した人の協力が得られれば捕獲している市もあります。
被害を与えている動物がハクビシンかどうか分からないときについて、日野市は「また、動物の種類が分からない場合には、センサーカメラの設置も行っておりますので、ご希望の方はお問い合わせください。」と記載しています。
なお、外で見かけただけのときの扱いは、別の記事で整理しています。

出典:豊島区「ハクビシン・アライグマの被害について」/練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」/日野市「アライグマ・ハクビシンによる被害でお困りの方へ」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/目黒区「ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ」/八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/小平市「ハクビシンとアライグマについて」
ポイント2:住まいが対象になるか
次に確かめたいのが、住まいの条件です。
所有者か管理者からの依頼
誰から依頼するか、規定がありました。
- 板橋区:被害のある建造物の所有者または管理者の方からの依頼であること。
- 練馬区:建物の所有者または管理者からの依頼
- 豊島区:所有(管理)者の同意
- 世田谷区:所有者または管理者からの依頼
- 日野市:申し込む市民が所有して住んでいる家屋であること
建物の所有者または管理者からの依頼や同意、あるいは家屋を所有していることが要件になっている自治体も多いです。
問い合わせの際には確認しておくのがおすすめです。
もし賃貸住宅に住んでいるなら、マンションや戸建てにかかわらず、管理会社や所有者に相談してみるのが良いのではないでしょうか。
集合住宅の扱い
中野区は、対象を戸建て住宅(管理会社がある場合や空き家を除く)としていて、「※集合住宅(マンション・アパート等)は対象外です」と記載しています。
一方、豊島区は民間集合住宅を対象に含めていて、目黒区と世田谷区も集合住宅を対象にしています。
ただし目黒区と世田谷区は、都営・都立の住宅や公社などの賃貸住宅は対象外としています。
店舗や事務所についても、目黒区は対象に含め、世田谷区は対象外としています。
集合住宅や店舗が対象になるかどうかは、区によって分かれています。
お住まいの自治体の公式サイトで確認してみてください!
出典:板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」/練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/豊島区「ハクビシン・アライグマの被害について」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/目黒区「ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ」/日野市「アライグマ・ハクビシンによる被害でお困りの方へ」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」
ポイント3:わなをどこに置くか、何をしてもらえるか
区や市の事業で使う箱わな(箱罠・捕獲器)を、どこに置いてもらえるのかも自治体で違います。
天井裏に入られているなら、ここは確かめておきたい点です。
屋内にも置く例
目黒区では委託事業者が現地調査を行い、被害を受けていると判断した場合に、天井裏などに箱わなを設置します。
世田谷区も、委託した専門業者を派遣し、棲みつかれたところや侵入経路に捕獲器を置いて捕獲しています。
屋外だけの例
中野区は「箱わなは、屋外の地上への設置になるため、ベランダや天井裏への設置はできません。」と記載しています。
千葉県船橋市は、ワナの貸し出しという形で事業を行っていて、ワナの設置や撤去、捕獲した個体の回収は、市が委託した業者が行います。
そのうえで「なお、ワナは1階の庭等の設置や撤去のみで、屋根裏の侵入への対応や追い払いは行いません。」と記載しています。
日野市も、敷地内の屋外に、第三者が誤って触るなどしてけがをする心配なく捕獲器を置けることを、申請要件にしています。
天井裏に入られている場合は、わなを屋内に置いてもらえるのかを、問い合わせのときに聞いておきたいところです。
現地調査で決まること
練馬区は、業者が現地調査を行ったうえでわなを設置するとしています。
わなを置けるかどうかは現地調査で業者が判断するので、設置できるとは限らない、とも書かれています。
家に入られたときの「追い出してからふさぐ」進め方は、こちらでまとめています。

出典:目黒区「ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」/日野市「アライグマ・ハクビシンによる被害でお困りの方へ」/練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」
ポイント4:費用と、申請者がすること
費用の負担と、申し込んだあとに自分ですることも、自治体ごとにさまざまです。
費用の負担
各自治体の公式サイトを見てみるとこのように書かれていました。
- 練馬区:無料で業者が現地調査を行った上で、わなを設置します
- 船橋市:駆除のために無料でワナを貸し出している
- 板橋区:箱わなの設置から処分まで区が費用を負担しますので、箱わなに入れるエサのみご用意ください。エサの設置は専門業者が行います
- 目黒区:箱わなの貸し出しと、捕獲された動物の回収の費用を区が負担
罠を設置する場合はエサが必要になります。
エサについてはこのように書かれています。
- 日野市:エサは申込者自身が用意し、費用を負担するもので、必要なら取り換えること
- 世田谷区:週1回程度エサの取りかえること。またエサ代は自己負担
- 船橋市:エサの準備は申請者
- 目黒区:初回のエサは委託事業者が置き、その後の付け替えは自己負担
罠は無料貸し出し、エサは自己負担。
多くの自治体ではこのような分け方になっているように感じました。
申請者がすること
わなを置いてもらったあとも、申請者がすることがあります。
1つ目は立ち会いです。
豊島区は、条件の1つを「委託業者による箱わなの設置や回収の際に、立会いが可能である。」としています。
練馬区・板橋区・目黒区・世田谷区も同じように、調査や設置・回収のときの立ち会いを求めています。
2つ目は毎日の見回りです。
中野区は「1日に1回できるだけ朝に、見回りをしてください。」と案内しています。
豊島区は1日1回以上の点検を、練馬区・板橋区・目黒区・世田谷区・日野市も毎日の見回りや確認を求めています。
3つ目は捕まえたときの連絡です。
中野区は「動物がかかった場合、速やかに委託業者に連絡をしてください。夕方以降はすぐに対応できないことがあります。」と記載しています。
船橋市は、土日祝日と年末年始は委託業者が休みで回収できないため、その前日の夜にはワナを閉めるよう案内しています。
出典:練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」/板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」/目黒区「ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ」/日野市「アライグマ・ハクビシンによる被害でお困りの方へ」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/豊島区「ハクビシン・アライグマの被害について」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」
ポイント5:設置期間と回数
わなを置いておける期間と、申し込める回数にも、自治体ごとに決まりがあります。
2026年10月5日時点で、各自治体の決まりは次のとおりです。
- 練馬区:わなの設置期間は原則1週間(最長2週間)、1軒につき年度内1回まで
- 板橋区:原則1週間(最長4週間まで)、年度内1回まで
- 豊島区:年度に1回、設置期間は最長4週間
- 世田谷区:原則1週間で、希望すれば延長でき、最長4週間。同じ敷地・建物につき、同じ年度内に1回
- 目黒区:貸し出し期間は原則3週間、最大6週間。区による設置は年度で1回限り
- 中野区:1週間(原則として土曜日・日曜日・祝日を含む)
- 八王子市:同じ場所につき、年度ごとに1回
- 日野市:最大2週間(わなの空き状況によって1週間延長できる)。要件を満たしていれば回数の制限はない
- 船橋市:最大8週間
年度に1回までとしている区や市がある一方で、日野市は、要件を満たしていれば回数の制限はないとしています。
回数や期間の規定もいろいろです。
自治体の公式サイトを確認する必要がありますね。
申し込む時期によっては、待つこともあります。
中野区は「お申込みが集中した場合は、区内に設置できる箱わなの数に限りがあり、すぐに対応できないことがあります。」と記載しています。
世田谷区は、年度末は設置や延長の依頼を受けられない場合があるとしています。
船橋市も、想定を上回る申請があったため、令和8年度は新規の設置を優先しているとのことです。
出典:練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」/豊島区「ハクビシン・アライグマの被害について」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/目黒区「ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/日野市「アライグマ・ハクビシンによる被害でお困りの方へ」/船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」
区や市が引き受けないことは、業者に頼む
ここまで見てきた区や市の事業は、わなを置いて捕まえるためのものでした。
その先の作業については、自分で業者に頼むよう案内している区や市があります。
船橋市は、屋根裏の侵入への対応や追い払いは行っていません。
屋根裏に入られている場合や、消毒・清掃については、有料で業者を紹介する団体を案内しています。
八王子市も、屋内の調査や侵入口の特定、天井裏の清掃・消毒、建物の補修は市では行っていません。
板橋区は、侵入路をふさぐ施工やふん尿の清掃・消毒、区の事業が終わったあとのわな、ハクビシンかどうか分からない場合について、自己負担を判断したうえで自分で専門業者に頼むよう案内しています。
業者の費用について、船橋市は「市では費用等は把握していないため、直接業者に見積をしてください。」と記載しています。
世田谷区は、自費で工事を頼む前に、複数の見積書を取り寄せて、工事の内容や金額を確かめることを勧めています。
害獣プロガードの対応エリアや受付、依頼の流れは、こちらにまとめています。

まとめ
ここまで調べてみた結果、まずは費用があまりかからない自治体の施策を検討するのが良さそうです。
ただ、自治体の施策では主に罠の貸し出し・設置までが多いです。
侵入口を塞いだり、糞などで汚れた部分を清掃したり消毒したりするのは対象外が多いです。
もし侵入口の封鎖や清掃を考えているなら、最初から業者に依頼するのもありかもしれません。
ぜひご自宅の状況とお住まいの自治体の施策を総合的に判断して、最善の方法を考えてみてください!
家の中の作業を業者に頼む場面は、こちらでも整理しています。

アライグマについては、区や市の捕獲事業も含めて、こちらの記事でまとめています。

業者に頼むときの費用の考え方は、別の記事で見ていく予定です。
出典:船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」/八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/板橋区「ハクビシン(外来生物)の被害について」/目黒区「ハクビシンやアライグマの被害でお困りの方へ」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」


