家庭菜園の野菜や庭の果物が、何かに食べられていた。
夜、屋根の上に見慣れない動物の影があった。
天井裏に何か入り込んでいるのではないかと、落ち着かない日を過ごしているかもしれません。
ここでは、区や市、東京都環境局、環境省の資料をもとに、家でできることと、区や市・業者に任せることを分けて整理していきます。
見かけた姿や物音だけでアライグマと決めつけず、資料に書かれている範囲で一つずつ確かめていきましょう。
アライグマはどんな動物?特定外来生物?

アライグマは、もともと日本にいた動物ではありません。
東京都環境局によると、原産地は北アメリカから中央アメリカです。
ペット用に輸入されて飼われていたものが逃げたり捨てられたりして、国内で増えたと説明しています。
船橋市は「アライグマはもともと日本にはおらず、現在、野外にいる個体は、飼育されていたものが捨てられたり、逃げ出したりしたのちに繁殖したものです。」と記載しています。
「生態系や農作物等に大きな被害を与えることから、外来生物法により「特定外来生物」として指定されており、原則として、輸入や飼育などすることはできません。」
環境省の「特定外来生物等一覧」でも、哺乳類のアライグマ科アライグマ属に「アライグマ(P. lotor)」が載っています(2026年10月15日に確認)。
法律での扱いは、もう一つあります。
東京都環境局のページでは、アライグマの「法令等の位置づけ」として、外来生物法の特定外来生物と並んで、鳥獣保護管理法の狩猟鳥獣が挙げられています。
この狩猟鳥獣という扱いは、自分で捕まえてよいのか、というこのあとの話につながってきます。
生態も見ておきましょう。
板橋区の説明では、活動の中心は夜間ですが、夜間以外にも活動することがあります。
木登りが得意で手が器用だという点は、板橋区と中野区がそろって挙げています。
食べ物について板橋区は雑食性とし、「果物や野菜、池の魚などなんでも捕食します。」と書いています。
環境省の「アライグマ防除の手引き」には、次の一文があります。
「アライグマは一般に夜間に活動するため、目撃情報が得られにくく、被害の初期段階ではアライグマによる被害であると認識されないことが多いようです。」
被害が出ていても、アライグマによるものだと気づきにくい、ということです。
タヌキやハクビシンとの見分け方は、こちらにまとめました。

ハクビシンの側から見分け方をまとめた記事もあるので、あわせて参考にしてください。

外来種としての経緯等はこちらでまとめました。

出典:東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」/船橋市「アライグマの被害で困っています。」/環境省「特定外来生物等一覧」(2026年10月15日に確認)/板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)
家や庭で起きる被害
家の被害から見ていきます。
環境省の手引きは、生活環境被害として「人家の屋根裏や廃屋に侵入して住み着くことがあります。」と記載しています。
東京都環境局も、アライグマとハクビシンのどちらについても、家に入り込まれて建物が壊されたり、糞尿で汚されたりする被害が、とくに天井裏で大きな問題になっているとしています。
板橋区によると、家の中に入り込まれた場合には、ふん尿による悪臭やカビの発生、家屋の破損や汚損が報告されているとのことです。
板橋区は、アライグマがねぐらにしている場所として、民家や神社・仏閣の屋根裏、倉庫などを挙げています。
庭や畑の被害もあります。
中野区は、ハクビシンとアライグマについて「雑食で何でも食べますが、特に甘い果実や野菜を好んで食べるため、一般的に農園や家庭菜園、庭木の果実を食べられる被害が多く報告されています。」と記載しています。
東京都環境局も、果樹や野菜、イモ類などさまざまな農作物が深刻な被害を受けているとしています。
池で飼っている魚が狙われることもあります。
中野区の見分け方の表では、アライグマの食べ物の欄に「鯉や金魚などの飼育動物が捕食された事例もある。」と書かれています。
練馬区も、主な生活被害の一つに池の魚の食害を挙げています。
東京都環境局は「こんな時には要注意!」として、当てはまるものがあればアライグマやハクビシンが入り込んでいたり、住み着いていたりする可能性がある項目を挙げています。
家と庭に関わるものを抜き出すと、次のとおりです。
- 屋根裏で大きな音がする
- 天井にシミができた
- 畑や家庭菜園の作物が食べられている
- 庭木の果実(柿やビワなど)が食べられている
- 夜、庭や屋根の上に見慣れない動物がいた
- 池の金魚がいなくなった
ちなみに屋根裏の動物の候補を絞る考え方は、こちらの記事で整理しています。

足跡や食べ跡など、被害の跡の判断はこちらにまとめました。

板橋区によると、アライグマは野生動物のため、寄生虫や細菌を保有していることがあります。
健康面で気をつけたいことは、こちらで紹介しています。

出典:環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)/東京都環境局「アライグマ・ハクビシンについて」/板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/中野区「近所でハクビシンやアライグマを見つけましたが、どうしたらいいですか?」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/東京都環境局「被害を防ぐために」
見かけても触らない・自分で捕まえない
アライグマを見かけたときについて、八王子市は「アライグマ、ハクビシンは住居に侵入したり、庭を荒らしたりすることがありますので、見かけても触れたりエサを与えたりしないでください。」と記載しています。
板橋区も同じように、エサをやったり触ったりしないよう呼びかけています。
捕まえることについては、中野区のよくある質問にこう書かれています。
「ハクビシン(外来生物)とアライグマ(特定外来生物)は「狩猟鳥獣」に該当し、許可なく一般市民が捕獲することは禁止されています。」
板橋区と八王子市も、許可なくアライグマを捕獲することは鳥獣保護管理法で禁止されている、と案内しています。
特定外来生物と聞くと、見つけたら捕まえてもよさそうに思えるかもしれません。
ですが、環境省の手引きには「地方自治体や民間団体等がアライグマを捕獲する場合は、外来生物法に基づく防除の確認・認定、または鳥獣保護法に基づく捕獲許可の手続が必要です。」とあります。
中野区・板橋区・八王子市の案内では、特定外来生物のアライグマでも、許可なく捕まえることはできません。
見かけたときの対応は、こちらでまとめました。

許可を得て捕獲するための手続きはこちらです。

鳥獣保護管理法の中身や、動物ごとの扱いの違いは、こちらで整理しています。

屋根裏の動物について、自分でしてよいことと許可が要ることの境目は、こちらでまとめました。

出典:八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/中野区「近所でハクビシンやアライグマを見つけましたが、どうしたらいいですか?」/環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)
対策:寄せつけない
寄せつけない工夫として資料に出てくるのは、エサの片づけ、ネットや電気柵、屋根への足場をなくすこと、そして忌避剤です。
エサになるものを片づける
板橋区は、庭の果物は早めに収穫するかネットをかけ、生ごみやペットフード、果実を屋外に置いたままにしないよう求めています。
中野区も、庭木の果実を残したままにせず、落ちた果実も同じように片づけるよう案内しています。
池などで魚を飼っているなら金網で池を覆う、という対策は、中野区と東京都環境局の両方に出てきます。
メダカや金魚を外で飼っている場合について、八王子市は次のように書いています。
「金魚やメダカを屋外で飼育する場合は、夜間は屋内に移動させる。難しい場合は金網等でしっかり防除する。」
また八王子市は、敷地内にエサが多いと、捕獲用の箱わなを置いても捕まる効率が大きく下がる、と説明しています。
ネットや電気柵で囲う
ネットや電気柵は、畑や家庭菜園、庭を守る方法として資料に出てきます。
東京都環境局は、エサをなくすための対策事例の一つとして「農地・家庭菜園をネット・電気柵等で防護する」を挙げています。
世田谷区も、庭への侵入を防ぐ方法として、ネットや電気柵を設置することも有効だとしています。
屋根への足場をなくす
板橋区によると、アライグマは木や電線を伝って屋根裏に入ることもあります。
そのため、屋根まで届きそうな庭木の枝は剪定しておくよう呼びかけています。
中野区と東京都環境局も、家への侵入経路になるような木の枝は切っておくよう挙げています。
世田谷区は、枝が屋根にかかる前に、定期的に剪定するよう案内しています。
忌避剤について
忌避剤は、資料によって書き方が異なります。
東京都環境局のいう忌避剤は、くん蒸式・くん煙式の殺虫剤などのことです。
東京都環境局は、屋根裏に入られたときにこれを使えば、その場から追い出せる可能性はあるとしています。
世田谷区では、木酢液などの忌避剤は、ねぐらから追い出すために撒くものとして出てきます。
練馬区は、アライグマやハクビシンを寄せ付けないための項目で、竹酢や木酢などの忌避剤が有効な場合があると案内しています。
忌避剤や嫌がるにおいについては、ハクビシンについての記事で詳しくまとめています。
区や市の資料はアライグマとハクビシンを一緒に扱っていることが多いので、参考になると思います。

出典:板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/東京都環境局「被害を防ぐために」/八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」
屋根裏や天井裏に侵入されたら?
八王子市のページには「天井裏や壁の中から音がする場合」という項があり、そこに「アライグマ、ハクビシン等が侵入している可能性があります。」と書かれています。
この項で八王子市が示している手順は、侵入口を確かめる、動物を追い出す、侵入口をふさぐ、の3段階です。
八王子市は、入り込んでいる動物を捕まえても、すぐに別の動物が入ってくる可能性があるとして、まず侵入口をふさぐことが有効だとしています。
手順1:入り口を探す
侵入口の例として、八王子市は次の場所を挙げています。
- 換気口
- 軒下のすき間
- 戸袋
- 床下通気口
- 増築した建物と、もとの建物の接続部分のすき間
八王子市は、侵入口が1か所だけとは限らない、とも注意しています。
板橋区のアライグマのページにも「アライグマの侵入口になる隙間(縁の下、換気口、軒下など)を塞ぐことが有効です。」とあります。
世田谷区も、縁の下や通風口、増築部分の屋根付近の継ぎ目などのすき間を挙げています。
環境省の手引きは、アライグマの入り込み方について、次のように書いています。
「アライグマは前肢が器用で、構造物を登ったり、地際から潜り込んで侵入したりするので、現場の状況に応じて、これらを阻止する工夫が必要です。」
続けて「具体的には、電気柵やネット等で囲ったり、アライグマが滑って登れないように、壁や柱をトタンなどの素材で覆うといった方法があります。家屋侵入対策としては、侵入口を探し出して塞ぐことなどが行われています。」とも記載されています。
八王子市の例には床下通気口も入っていますが、床下の通気口には、ほかのすき間と同じように扱えない事情があります。
気をつけたい点は、こちらの記事にあります。

手順2:煙で追い出す
八王子市によると、天井の点検口などから天井裏に燻煙剤の煙を行きわたらせると、動物がいったん建物の外へ逃げていくことがあります。
ただし、同じ項には「※個体によっては、効果がない場合もあります。」と添えられています。
世田谷区も、ねぐらの近くで煙の出る殺虫剤を焚くなどして追い出すよう案内しています。
手順3:金網などで入り口をふさぐ
八王子市の手順では、入り口をふさぐのは、動物を追い出したあとです。
追い出したのち、侵入口を金網などでふさいで、もう一度入られないようにする流れになっています。
侵入口になりやすい場所は、ハクビシンについての記事で、自治体ごとに整理しています。
区や市の資料はアライグマとハクビシンを一緒に扱っていることが多いので、あわせて参考にしてください。

中野区は、自宅に住み着かれた場合の頼み先として、区の捕獲のほかに、専門業者による侵入口の閉鎖工事や清掃消毒を勧めています。
出典:八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/環境省「アライグマ防除の手引き(計画的な防除の進め方)」(平成26年3月改訂)/中野区「近所でハクビシンやアライグマを見つけましたが、どうしたらいいですか?」
区や市の捕獲事業や補助
家でできる対策をしても被害がおさまらないときに検討したいのが、区や市の捕獲事業です。
東京都環境局によると、「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画」は平成25年に都がつくったもので、都はこの計画のもと、区市町と連携して対策を進めてきました。
ただし、事業の中身は、区や市によって違います。
練馬区は、アライグマ・ハクビシンの被害を受けた住宅について、業者による現地調査とわなの設置を無料で行っています。
板橋区の事業では、区の委託を受けた専門業者が箱わなを置き、設置から処分までの費用は区が負担しています。
区民が用意するのはわなに入れるエサで、エサを置く作業も専門業者が行うとのことです。
※目撃しただけで実害が出ていない場合は対象外
中野区の事業は、戸建て住宅(管理会社がある場合や空き家を除く)が対象で、集合住宅は対象外です。
世田谷区は、集合住宅を含む住宅を対象にしています。
住まいの条件も区によっていろいろです。
八王子市の箱わなは、ここまでの防除対策を行っても被害を防げなかった場合に使えるもので、設置は同一場所で年度ごとに1回です。
千葉県船橋市は、千葉県のアライグマ防除実施計画に基づいて、捕獲用ワナを設置する防除事業を始めています。
現在はアライグマとハクビシンを対象にワナを貸し出していて、設置や撤去、捕まった個体の回収は市が委託した業者が行います。
ただし、ワナを置くのは1階の庭などで、屋根裏の侵入への対応や追い払いはしないとのことです。
令和8年度は申請が想定を上回り、新規の設置を優先しているそうです。
アライグマやハクビシンの被害にあった場合について、東京都環境局は「まずは各区市町の環境部署や清掃部署等にお問い合わせ下さい。」と案内しています。
東京都以外にお住まいの場合も、まずは住んでいる市区町村の案内を確かめてみてください。
区や市の捕獲事業で、対象や費用の負担、わなの置き場所をどう確かめるかは、ハクビシンについての記事でまとめています。
ハクビシンについての記事ですが、ここで挙げた区や市の事業は、アライグマとハクビシンの両方が対象です。

出典:東京都環境局「東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画について」/練馬区「アライグマ・ハクビシン対策」/板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」/八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/船橋市「アライグマの被害で困っています。」/船橋市「アライグマ・ハクビシンの捕獲用ワナの貸し出しについて(外来種対策)」/東京都環境局「被害を防ぐために」
業者に頼むか考える
区や市の事業でできることと、できないことを見ておきます。
区や市が引き受けないこと
八王子市は、次のように記載しています。
「※市では、屋内への立ち入り調査、天井裏などに侵入した動物や侵入口の特定、天井裏等の清掃・消毒、建物の補修等は行っておりませんので、ご承知ください。」
板橋区も、区の事業でまかなわない作業については、費用を自分で負担するかを判断したうえで、専門業者へ自分で頼むよう求めています。
八王子市と板橋区の案内では、入り口をふさぐ工事や、天井裏などの清掃・消毒は、自分でするか、業者に頼むかを選ぶことになります。
資料が業者への相談を挙げている場面
- 動物がアライグマか分からない(板橋区)
- どこから入っているのか特定できない(八王子市)
- 「進入路を塞ぐ施工」が必要(板橋区)
- ふん尿を片づけ、清掃・消毒をしたい(板橋区)
- 天井裏などを清掃・消毒したい(八王子市)
- 区の事業の期間が終わってからも、わなをかけたい(板橋区)
八王子市は、侵入口が見つけられないなど、自分で対策するのが難しいときや、天井裏の清掃・消毒をしたいときの相談先として、民間事業者を紹介している団体を挙げています。
あわせて、民間事業者に頼む場合は有料になると注意しています。
中野区も、家屋の工事や清掃消毒などにかかる費用は、頼んだ人の負担になるとしています。
業者に相談するときに
中野区は、業者に駆除を頼む場合について「複数の業者から見積もりを取ることができますので、よく相談し、納得できる業者を選んでください。」と記載しています。
世田谷区も同じように、自費で工事を頼む前に複数の見積書を取り寄せ、工事の内容や金額を確かめることをすすめています。
業者の選び方は、別の記事で扱う予定です。
アライグマなどの害獣対策は高いところや狭いところでの作業になりやすいです。
侵入口を探したり塞いだり、天井裏・屋根裏や床下の作業がありますからね。
慣れていないと危険ですし、体への負担も大きいです。
だからこそ、プロの業者に依頼することも検討するといいでしょう。
業者に現地を見てもらうときは、見積もりの段階で、入り口をふさぐ作業や清掃・消毒のどこまでが含まれるのかを確かめておくのがおすすめです。
あとから「○○は対応していません」「追加料金が必要です」と言われても困りますからね。
アライグマかどうか自分では分からない段階でも、まずは見てもらって相談するのもひとつの方法です。
害獣プロガードの対応エリアや受付、依頼の流れは、こちらにまとめています。

出典:八王子市「アライグマ・ハクビシンの被害について」/板橋区「アライグマ(特定外来生物)の被害について」/中野区「近所でハクビシンやアライグマを見つけましたが、どうしたらいいですか?」/中野区「ハクビシン・アライグマによる被害が続いたら」/世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」





